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設備工事を主体に建築~メンテナンスまでワンストップサービスを提供。

株式会社クロスティホールディングス
代表取締役 林 秀樹

更新日:2023年5月17日

1979年生まれ。北海学園大学卒業後、2002年に電力会社のグループ会社に入社。ビルメンテナンス業務に3年携わり、2005年株式会社エコテックへ入社。2020年小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻、MBA取得。2021年にグループ8社を束ねる持株会社の株式会社クロスティホールディングスを設立。2027年度にグループ売上100億円を目指す。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

持株会社制でグループ8社の連携を深め、シナジーを最大化させる。

クロスティホールディングスの源流は、暖房・電気設備工事を行う会社として1979年に設立された東弘産業です。同社は、1999年「株式会社エコテック」に社名を変更。以後、子会社設立や関連業界におけるM&Aにより、8社からなるエコテックグループを形成しました。

そして、人事・採用・教育・経営企画といった管理機能を統合することでグループ全体のシナジーを最大化し、各社の保有する経営資源を有効に活用するため、持株会社体制への移行を決定。2021年、クロスティホールディングスとして新たなスタートを切りました。

クロスティホールディングスは、グループ8社がそれぞれの強みを発揮し、電気・給排水・空調・暖房など住宅設備の設計から施工、メンテナンスまでワンストップでサービスを提供します。これに関連し、用地仕入・住宅流通といった不動産事業や住宅・特殊建築事業、設備調達なども独自に行う体制を整えています。

用地探しから建築、設備工事、メンテナンスまでワンストップで完結できる会社は、あまりありません。大手といわれる会社でも、施工やメンテナンスは外注しているケースが大半です。

一貫体制によるサービスの提供は、品質はいうまでもなく、納期・コスト面でも優位性があります。お客さまである建設会社やハウスメーカーからすると、「クロスティに依頼したら、住宅工事のことは一通り任せられる」となるため、声をかけやすいのでしょう。おかげで業績は順調に推移しています。

「非住宅」分野へも注力し、2027年度のグループ売上100億円を目指す。

当社は、2027年に創業50周年を迎えます。この節目に、グループ売上100億円という目標を掲げています。現状から考えると、かなりチャレンジングな目標です。しかし、決して手の届かない数字ではありません。

現在の当グループの主要ドメインは新築戸建分野です。しかし、少子化の影響もあり、この市場は縮小するでしょう。私は、当グループのリソースを非住宅、すなわち学校や公共施設、あるいは商業テナントといった分野に広げようと考えています。

同じ「非住宅」であっても、学校・公共施設と商業テナントではかなり違いがあります。小規模テナントは戸建とやり方が近いので、グループの技術や人員がそのまま活かせるでしょう。しかし、学校・公共施設となると、扱う物や必要な知識が変わるため、新たなスキルの習得や人材の確保が不可欠です。しかし、今後をにらむと、手をこまねいているわけにはいきません。

北海道では、空調はまだまだ伸びます。エアコンの普及率が低いので、新築でも既設建物でも空調の需要は高まるでしょう。高度経済成長期に建てられたホテルや施設のリフォームやリノベーションが本格化するのもこれからで、取替ニーズも発生します。小中学校でもエアコンが設置されるなど、空調に関しては住宅・非住宅の両分野で市場が大きくなりそうです。その一方、施工業者は足りていません。電気・空調を得意とするエコテックを中核企業に持つ私たちが食い込める余地は、十分にあります。

資材調達などでも業績を伸ばせると思います。現在、当グループの調達部門は一部の電材の調達だけに関わっているのですが、水道関係の管材や建築関係の建材など、取り扱う種類を増やせば、新たな売上につながります。もちろん、扱う物が違うと、調達・管理に要する知識も変わるため、簡単ではありません。採用・教育など人事面の手当を行うことで、うまく機能させようと考えています。

情報共有をもっと密にして、互いを知り、協力体制を整える。

売上100億円の達成のため、より重要になってくるのが、グループの連携です。同じグループ内なのに、各社が何をやっているのか、まだまだ情報共有が足りません。

その第一歩として、現在策定中の中期経営計画を各社で浸透させていきます。これを各社で共有し、グループの目指す方向や自分たちの役割を理解するきっかけにしてほしいですね。上からやれと言われたからやるのではなく、こういう未来像を一緒に作っていくのだ、と能動的に動けるように。グループ各社と連携することで、自分たちのレベルを上げる。そういった動きが当たり前のようにできる組織にしていきます。そのためには、思い切った権限委譲も必要でしょう。

当社は「人の力でグループを進化させ、暮らしにもっと寄り添う、地域のコネクティングカンパニーになる」というビジョンを掲げ、「三方善」という理念を持っています。また、6つの価値観と行動指針を示し、朝礼などで共有しています。設備工事会社で、こうしたビジョンや行動指針を明示している会社は多くありません。

これらのビジョンや行動指針は、創業者の考えを軸に、従業員みんなで意見を出し合って決めたものです。グループが広がるなかで、ともすると自分たちの依って立つところが見えにくくなることもあるかもしれません。そんな時こそ、ビジョンと行動指針に立ち返りたいですね。

これまでずっと、当社は「挨拶がいい」とお客さまに評価してもらっていました。しかし、規模が拡大するうち、そうした基本をおろそかにしてしまった頃もあります。そういう時、従業員一人ひとりが基本行動を見直すことで、本来の良さを取り戻してきたのです。グループ各社の連携を深める上で、「何に価値を求めるのか」を共有することが重要だと思います。

他社と一味違う、いつもワクワクできる会社でありたい。

社風としては、他とは違う、従業員がいつもワクワク働ける会社でありたい、と思います。みんなが仕事に面白さを感じるなら、充実した毎日が送れるでしょう。私は、自社の採用Webサイトでギターを弾く写真を披露していますが、あれも就職希望者に「他の会社とは違うな」と感じてもらいたいからです。

将来的に社歌を作りたいのですが、その時はヘビーメタルの社歌にしようと思います。定時になったらヘビーメタルの社歌が鳴り始めるのです。「うるさくて仕事にならん」と感じる従業員もいるかもしれませんが、残業を減らすのに役立つかも知れません。

また、当社はソフトテニス実業団を有しています。学卒後も競技を続けたい選手を工事スタッフとして雇用し、セミプロとして各種大会に参加してもらうのです。これも、他とは違う会社でありたいという当社の姿勢の表れです。

私たちが主体とする設備工事自体は、他社と比べ大きな差として現れるものではありません。もちろん、品質やコストを見ると違いはあるのですが、業界を知らない人にとってその違いはあまりわからないでしょう。

ソフトテニスの活動は、知名度を上げる材料になります。ソフトテニスをきっかけにクロスティの存在を知ってもらい、ビジョンや理念、事業に触れてもらう。それはいずれ、当社への協力者やパートナー、あるいは就職希望者を拡大することにつながるでしょう。

いま必要なのは共感してくれる仲間。積極性を発揮できる場を用意。

売上100億円を達成するためには、多くの仲間が必要です。職種でいうと、電気や空調、給排水といった各分野で施工スタッフや現場管理をする人材を増やさないといけません。ホールディングス体制を機能させるための、総務や財務、戦略、マーケティング、法務などの人材も足りていません。

中途採用の人材に期待することは、「自分から手を上げ、動く」という積極性ですね。こんなこともできるのではないか、と発信し、実現に向けて行動する人だと、事業はどんどん前に進みます。

実際、これまでスカウトなどで採用した方は、スキルや人脈も確かなので「これをやりましょう」「あれはどうですか」と、どんどん提案してくれています。

中途人材に刺激を受け、既存従業員も積極的になってきました。実際に手を挙げる人がいるのを間近に見て、「自分もやっていいんだ」「失敗しても、またチャレンジすればいいんだ」と思えるようになったのです。特にここ一年、従業員たちは急激に成長しています。

従業員に積極性が芽生え、いろんな動きが絡み合うことで、新しい事業が育っていくかもしれません。そう思うと、私はワクワクします。

せっかく生まれてきたこの兆しを確かなものにするため、情報共有をより密にし、連携を深めていく。困ったことがあれば、各社の枠を超え、支え合う。そんなグループを構築するのが、私の役割です。ぜひあなたの力を貸してください。

編集後記

コンサルタント
續 似洋

「他とは違う、従業員がいつもワクワク働ける会社でありたい」と林社長は目を輝かせながら仰っていました。

人の力でグループを進化させるべく、社長も従業員も失敗を恐れずチャレンジし、その中で新しい事業が生まれていく。そんな未来を見据え、ご自身がワクワクしているようでした。

また、今回の取材で印象深かったのは、社長と従業員の距離の近さを感じるコミュニケーションでした。

取材のために自宅から持ってきたギターを持って社長が社内を歩いていると、すれ違う従業員の方たちが次々に社長に話しかけます。「社歌ですか?」「社長、今度はなんですか?」と。

ちょっとしたやり取りですが、社長が真っすぐに見据える未来に、一丸となって向かっていく同社の姿が見えるようでした。

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